Enso(ENSO)とは

Enso(ENSO)とは

中級者
更新済 Oct 15, 2025
7m

要点

  • 分散型のレイヤー1ネットワークであるEnsoは、複数のブロックチェーンとロールアップにまたがるスマートコントラクトとのやり取りを簡素化するために生まれました。

  • 同プロトコルはTendermintコンセンサスを採用しており、複数のブロックチェーンにまたがりスマートコントラクトの実行可能なバイトコードをコンパイルする調整レイヤーとして動作します。

  • 同ネットワークにおける参加者には、消費者、アクション提供者、グラファー、バリデーターの4種類の役割があります。

  • Ensoでは、開発者が提供するアクション(Action)と呼ばれるスマートコントラクトの抽象化を共有型ネットワークステート上で統合し、グラファーがこれらを組み合わせて実行可能なソリューションを生成する仕組みを導入しています。

Ensoの概要

分散型のレイヤー1ネットワークの1つであるEnsoは、開発者が複数のブロックチェーン、ロールアップ、アプリケーション特化型チェーン(Appchain)においてスマートコントラクトとやり取りする方法を簡素化するために設計されています。同プロトコルは多数のブロックチェーンにまたがりスマートコントラクトを接続する調整レイヤーとして機能します。これにより、開発者は複雑な技術的詳細を扱わずともエコシステム全体を構築できます。

Ensoでは、インテント(意図)アクション(行動)と呼ばれる2種類の主な概念を導入しています。開発者またはユーザーはインテントにより、すべての技術的手順を定義せずとも、実行希望の内容(ブロックチェーン間でのトークンのスワップや資産の移動など)を記述できます。

アクションとは、トークンの送信や資産のステーキングなどの比較的小規模な操作を指します。同ネットワークでは、適切なアクションを組み合わせて実行し、インテントを効率的に完了します。Ensoでは、複雑なブロックチェーンのやり取りをインテントベースのリクエストに変換することで、分散型アプリケーション(dApp)をコンポーザブルかつユーザーフレンドリーなものにすることを目指しています。

Ensoの仕組み

共有型のネットワークステート

Ensoの共有型ネットワークステートは、複数のブロックチェーンおよびロールアップスマートコントラクト関連の情報を保存するグローバルなデータベースとして機能します。開発者は同データベースを用いることで、各ブロックチェーン別の統合を管理するのではなく、単一かつ一貫したデータソースを用いて作業できるようになります。

各スマートコントラクトは、実行可能なバイトコードの生成に必要なすべての詳細を備えたエンティティとして記録されます。バイトコードとは、ブロックチェーンにおいてスマートコントラクトの命令を処理および実行する際に使用するローレベルのコードを指します。また、各エンティティは、対応するブロックチェーンのIDにリンクされているため、同ネットワークにおいて各エンティティがデプロイされているブロックチェーンを特定できます。

例えば、イーサリアム上のAaveの貸付プロトコルは、「貸付」アクションタイプを備えたエンティティとして保存されます。開発者が複数のブロックチェーンに対応する貸付プロトコルとやり取りしたい場合、Ensoでは共有型ステートから必要なコンポーネントを自動的に収集し、特定のリクエストに向けたバイトコードを生成できます。このアプローチでは、複雑なスマートコントラクトのやり取りを標準化された再利用可能なコンポーネントに変換することで、複数のブロックチェーン上における開発の簡素化につなげています。

ネットワークの参加者

Ensoの設計は、4種類の主な参加者を中心に構築されており、各参加者がリクエストの処理とネットワークの円滑な稼働に関する異なる役割を担っています。

消費者

インテントをEnsoネットワークに送信するエンドユーザーまたは開発者。消費者は、達成したい結果(トークンのスワップやDeFiアクションの実行など)を記述し、この実行方法をネットワークに委任します。

アクション提供者

再利用可能なスマートコントラクトのモジュール(アクションと呼ばれる)を提供する開発者。アクションにより、特定のブロックチェーンの操作を実行する流れが記述されます。また、各ユーザーのインテントを完了するために、アクションを組み合わせて使用できます。

グラファー

Ensoの共有型ネットワークステートを検索して関連するアクションをリンクする、技術的専門性を備えた参加者。グラファーは、ユーザーのインテントに応じて最良の結果をもたらす、最適化された実行可能なバイトコードを構築します。

バリデーター

ネットワークノードは、提案されたソリューションを検証する役割を担います。複数のブロックチェーンをまたいで生成されたのバイトコードのシミュレーションとテストを行い、正確に実行されることを確認の上、最も効率的かつ安全な実行ソリューションを選択します。

Ensoのワークフローは通常、以下の手順により構成されています。

  • インテントの作成:ユーザーは、希望する結果(トークンのスワップや貸付など)を指定し、その実行方法の詳細を記述することなく、該当のネットワークにインテントを送信します。

  • アクションの提供:アクション提供者は再利用可能なスマートコントラクト抽象化(アクションと呼ばれる)を発行します。これにより、特定の操作(スワップや入庫など)の実行方法が定義されます。

  • パスファインディング:グラファーは、共有型のネットワークステートを分析し、関連するアクションを組み合わせ、最も効率的な方法で意図を完了できる実行可能なバイトコードを生成します。

  • 検証:バリデーターは提案されたバイトコードをフォーク済みのブロックチェーンステート上でシミュレーションし、これが正確かつ安全に実行されたことを確認します。これにより、ステート遷移の有効性が検証されます。

  • ソリューションの選定:ネットワーク上ですべての有効なソリューションを比較し、最良の結果と最低のコストを両立するソリューションを選定し、残りは破棄します。

  • 実行:選定されたソリューションは、直接実行するためにユーザーに返されます。バイトコードに埋め込まれた実行手数料はオークションシステムを通して分配されます。これにより、ENSOトークンの形でグラファー、バリデーター、アクション提供者に報酬が支払われます。

ユースケース

Ensoは他のブロックチェーンと統合可能で、分散型かつスケーラブルなデータストレージを必要とするアプリケーションに対応しています。具体的には、以下のような用途が考えられます。

  • DEXおよびアグリゲーターEnsoではシンプルなZap機能(複数のトランザクションを自動でまとめる機能)により流動性提供における摩擦を軽減します。これにより、ユーザーがポジションをより簡単に移動し、流動性を最適化できるようになります。

  • ウォレット:各ウォレットプラットフォームは、Ensoを採用することで、スムーズなトークンのスワップ、クロスチェーンの送信、DeFiでの収益獲得機会へのアクセスを実現できます。

  • ステーブルコイン:プロジェクトは単一のチェーンでトークンをミントし、他ブロックチェーン間で安全にブリッジできます。これにより、コントラクトを個別にデプロイせずとも、複数のネットワークに対応する利回り生成ステーブルコインをローンチできます。

  • ヴォールトの入庫:同プラットフォームでは任意のトークンを入庫できるほか、ヴォールトの移行を簡素化することにより、同エコシステムにおける資本維持とユーザー参加を醸成しています。

  • マーケットメイカー:Ensoでは、分散型取引所(DEX)におけるマーケットメイク、アービトラージ(裁定取引)流動性プールのリバランスを自動化できます。市況に応じた自動化により、資本効率を向上させています。

ENSOトークン

ENSOはEnsoプロトコルのネイティブトークンであり、最大供給量は1億2,733万9,703に設定されています。同トークンは、管理されたインフレスケジュールに従っています。具体的には、同トークンは時間の経過に伴い徐々に減少し、10年後に完全に提供を終了する予定となっています。ENSOは同エコシステムにおいて、以下に挙げる複数の目的に用いられます。

  • ガバナンス:ENSO保有者は、同トークンのステーキングにより、プロトコルのアップグレードとスマートコントラクトの改善提案に対して投票できます。投票により、ステーキング報酬は提供されません。また、提案実施前に、定足数に到達する必要があります。

  • セキュリティ:ENSOをステーキングすることで、ネットワークの検証とシステムの完全性維持を支援できます。バリデーターはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)メカニズムとシミュレーションツールの採用により、データの正確性を検証します。

  • 委任:ENSO保有者はステーキング済みのトークンをバリデーターに委任することにより、検証収益の一部を獲得できます。これにより、ユーザー自身で検証ソフトウェアを実行せずとも同ネットワークの運用を支援し、見返りとして報酬を得られます。

Enso(ENSO)のバイナンスHODLerエアドロップ

2025年10月14日、バイナンスはバイナンスHODLerエアドロッププログラムの52番目のプロジェクトとしてENSOを発表しました。10月7日~9日の対象期間中にSimple Earn商品またはオンチェーン・イールド商品にBNBを預けたユーザーを対象に、ENSOのエアドロップが配布されました。このプログラムでは、トークン総供給量の1.75%に相当する合計175万ENSOトークンが割り当てられました。

ENSOはシードタグ付きで上場しており、USDT、USDC、BNB、FDUSD、TRYとのペアで取引できます。

まとめ

Ensoは、開発者による複数のブロックチェーン上でのアプリケーションの構築および接続を簡素化するために生まれました。同プロトコルでは、インテントベースのリクエストと共有型のネットワークステートを組み合わせることにより、ユーザーがインテントを記述する傍ら、同ネットワークにインテントの完了を委任できる仕組みになっています。また、同プロトコルでは、アクション提供者、グラファー、バリデーターの併用により、オンチェーンでバイトコードの生成および検証を行っています。これにより、手動での統合が削減され、スマートコントラクト間におけるネットワーク同士のやり取りが改善されます。

関連記事

免責事項:このコンテンツは、一般的な情報および学習機会の提供目的でのみ「現状有姿」で提供するもので、いかなる種類の表明または保証もありません。投資、法律、またはその他の専門的な助言として解釈されるべきではなく、特定のプロダクトやサービスの購入を推奨するものでもありません。適切な専門アドバイザーから独自のアドバイスを求める必要があります。こちらで紹介しているプロダクトは、お住まいの地域ではご利用いただけない場合があります。記事が第三者の貢献者によって寄稿されたものである場合、表明された見解は第三者の貢献者に属し、必ずしもバイナンスアカデミーの見解を反映するものではありません。詳細は、免責事項全文をお読みください。デジタル資産価格は、大幅に変動する可能性があります。投資価値が上下する可能性があり、投資した金額を取り戻すことができない場合があります。投資決定についてはお客様が単独で責任を負い、バイナンスアカデミーはお客様が被る可能性のある損失について責任を負いません。この資料は、投資、法律、またはその他の専門的なアドバイスとして解釈されるべきではありません。詳細は、利用規約およびリスクに関する警告をご参照ください。